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ストレッチング(柔軟体操)は、縮んで硬く膨らんだ筋肉を伸ばして元に戻す方法です。
人によって硬くなりやすい筋肉はだいたい決まってくるものですので、
そのような部位のストレッチングを覚えてたまに行なうことで、繰り返す症状を軽減させることが出来たり、予想される負傷や痛みを予防することが出来ます。
ストレッチングの際に大切なのが、ターゲットの筋肉を的確にストレッチできているかどうかです。 | |
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そのストレッチングは、目的の筋肉を伸ばしていない!
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「筋肉を伸ばそうと思ってやっていたことが、逆に筋肉を縮めることになっていた。」という事例は非常に多くみられます。
これでは、いっこうに ストレッチングの効果が現れません
ので、嫌になってやめてしまう、あるいは 症状を悪化させてしまうという経験をさ
れた方もおられるかとおもわれます。
よく知られる
TV番組や新聞、雑誌などでも、目的の筋肉を伸ばせていないストレッチ ング方法を指導していることがたまにあります。
そのような間違いに気付くことが重要です。
右の例は新聞記事です。
ピンク色で囲んだ部分の内容をみると、イスに座った姿勢でいわゆる「つま先立ち」のようにかかとを浮かせることで、「ふくらはぎの筋肉を伸ばすことができる」
と書かれています。
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図Aでは、ふくらはぎ後面の筋肉を縮めることで、つま先に対してかかとを浮かせています。
ストレッチング効果がある(伸ばされている)とすれば、下腿の前面の筋肉、すなわちスネについている筋肉を伸ばしていることになります。
図Bでは、図Aとは反対の動作をしていますので、スネについている筋肉を縮めることで、かかとに対してつま先を引き上げています。
つま先を引き上げることで、アキレス腱を含むふくらはぎ後面の筋肉にストレッチング効果があります。
よくある 「アキレス腱を伸ばす」 動作です。 | しかし、これでは、ふくらはぎの筋肉は伸ばされるのではなく、逆に縮んで しまいます。 右の図Aおよび図Bを使って、ご説明いたします。
ふくらはぎの筋肉を伸ばす、ストレッチをするには、上の記事とは反対に、図Bのように、かかとに対してつま先を挙げるべきなのです。
実際には、自分の足の力でつま先を上げるのではなく、手でつま先を引っ張ったり、ちょっとした段差のあるところで図Bのような形にしてストレッチングします。 | | |
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「伸ばす」と「ストレッチング」の混同
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一般に使われる表現と、実際にストレッチされている部分とが異なってイメージされてい
ることがあります。
例えば、「腰を伸ばす」という言葉と、「腰部の筋肉をストレッチする」の違いが挙げられます。
「腰を伸ばす」
といえば、右の
図Aのように体を後方へ反らす動きを連想します。この動きでは、体の前面の筋肉、たとえば腹筋などが伸ばされます。
一方、「腰部の筋肉をストレッチする」とは、
図Bのように体を前屈させることで、
体幹の背面の筋肉を伸ばすことを意味します。
この例で特に問題となるのは、
「
腰部脊柱管狭窄症」 の場合です。この症状がある場合、図Aのように 体(腰部)を反らせる動作は症状を悪化させる可能性があります。
つまり、体幹を反らせる動作は、腰椎(腰あたりの背骨)を反らせることになり、この姿勢をとることによっ
て、神経を狭窄している部分をさらに助長してしまう可能性が高いのです。
その結果、狭窄症の症状
が強くなってしまうことがあります。
リスクを回避しつつ、伸ばすべき筋肉を正確に伸ばすことが重要です。 | | |
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ストレッチングのコツ
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● 起床後は無理にストレッチングをしない
起床後の数時間は、筋肉の温度が比較的低いために柔軟性が非常に落ちています。
起床後は、持続的なストレッチングよりも、軽い繰返し動作を行なうほうが、広い範囲の筋肉へ温かい血液が行き渡りやすく、より早く筋肉がほぐれます。 | |
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就寝前のストレッチングは非常に有効
就寝中は、筋肉への血流量が減少するため、筋肉の温度が低下し、筋肉は短縮してしまいます。
一日の疲れ、すなわち、縮んだ筋肉を伸ばしておかずに就寝すると、筋肉は就寝中に更に短縮します。
これを毎日繰り返していくと、筋肉はどんどん短縮し、そのうちに様々な症状が出てきます。
この悪いサイクルを絶って、筋肉の柔らかさを維持あるいは向上させていくためには、就寝前のストレッチングが非常に有効です。 |
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好ましくない「痛み」よりも、「心地よい」と感じる強度でおこなう
快い感覚のない「痛み」は、身体にとっての侵害刺激ですので、自然と防御反応を引き起こします。
せっかく筋肉を伸ばして柔らかくしようとしているのですから、防御反応が働いてしまっては上手くいきません。
心地よい強度でストレッチングをおこなうと効果的です。 |
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注意事項
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● 呼吸を止めない ● 弾みをつけない ● よく伸びた感覚があるところで15〜30秒間、伸ばし続ける
● 目的の筋肉ではない、別の関節部分などが痛む場合は無理に行なわない | | |
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