「足首の背屈制限」とは
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「足首の背屈」 というのは、下図のように、つま先をスネへ近づけるようにして上へ挙げる動きのことをいいま
す。
この動きが充分にできないことを「足首の背屈制限」 といいます。 | | |
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○ よく
肩が こる
○ 背中が つる
○ 背中が 丸い
○ 腰痛を
繰り返す
○ 運動などで
膝を痛めやすい
○ しょっちゅう こむら返りを起こす
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しゃがみ込み動作時の膝の負担増加
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しゃがみ込む際に、
?@
カカトを挙げないとしゃがみ込めない。
?A
膝をつま先よりも前へ突き出ていくのを抑えられない。
?B
しゃがみ込むにつれて、つま先が外を向いていく。 |
?@の場合、カカトを床につけたまましゃがみ込むと、足首が充分に背屈しないために、重心が後方に偏位して、支え無しでは後方へ倒れてしまいます。
?Aの場合、膝がつま先から前方へ出ていくにしたがって、膝関節には体重の何倍もの大きな負担がかかりますので、日々、
しゃがむ動作をするだけで膝を痛めていくおそれがあります。
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?Bは「Knee in-Toe
out」という状況で
、膝の負傷の原因として知られています。
特に膝への負担が大きいスポーツ選手にとっては、要注意事項です。
踵を接地したまま「しゃがみ込む」 という動作は、足首が背屈していくことになりますが、
「足首の背屈制限」
があっても、体はウマくしゃがみ込もうとします。
その結果、つま先が外へ向いていきます。
このため、しゃがみ込んでいく様子を正面から観察しますと、つま先が外を向いていく、あるいは、膝が内に入っていくという現象が生じます。
ジャンプ後の膝のクッションを使った着地、腰を落とした状態からのダッシュなど、スポーツ中のあらゆる動作において「Knee
in-Toe
out」が起こりますので、そのたびに体重のかかった膝に捻りが加わることになり、膝を負傷するリスクが高まります。
日常の動作時にも、膝に大きな負担がかかって痛めることになりますので、早期に発見して、適切に補正する必要があります。
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「足首の背屈制限」
を改善することが、膝の負傷予防と痛みの治療になります。
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頭痛、肩凝り、腰部疾患を引き起こす
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「足首の背屈制限」は、立った姿勢に影響を及ぼします。
?@
つま先立ちで立ってしまう。もしくはつま先で歩く。
?A
体を前傾させて立つ。あるいはへっぴり腰で歩く。
?B
背中を丸めた姿勢になる。 |
?@の問題点は、立っていると常にふくらはぎの筋肉が使われてオーバーワークになることです。その結果、「足関節背屈制限の悪化」・「ムクミ」・「こむら返りの頻発」といった症状を引き起こす傾向があります。
?Aの問題点は三つ挙げられます、一つ目は、上体の前傾による腰背部の筋肉のオーバーワークです。その結果、「腰痛」・「背部の筋緊張」・「不眠」といった症状を引き起こす傾向があります。
二つ目の問題点は、正面を見るためにアゴを挙げることによる首・肩のオーバーワークです。その結果、「肩凝り」・「頭痛」・「奥歯の浮いた感じ」といった症状を引き起こす傾向があります。 三つ目の問題点は、
?Aでは腰をグッと反らせて体幹を立てようとしますので、「腰椎椎間板ヘルニア」や「
脊柱管狭窄症」 などの腰部疾患を引き起こす原因となります。
?Bの問題点は猫背のデメリットで詳しくご紹介しております。
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「足首の背屈制限」
を改善することが、体の背面に生じる疾患の予防と治療法になります。
また、同時に姿勢の改善を目的とした「コア・トレーニング」をあわせて行うと疾患の治癒を早めることができます。
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歩幅が狭く、つまずきやすくなる
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?@ 歩幅が狭くなる。
歩行時の後ろは、地を蹴る直前に足首が背屈します。
歩幅を広くしますと、足首をさらに背屈させる必要がありますが、「足首の背屈制限」
がある場合、この動きをしにくいために、足首の背屈をあまりしないように歩幅を狭くして歩こうとします。 | |
?A つまづきやすくなる
「足首の背屈制限」があると、自力でつま先を上げにくいので、ちょっとした段差や障害物を回避することが出来ず、
つまづく、よく足の指を打つ、転倒するといった機会が増えます。
「足首の背屈制限」
を改善することが、転倒予防になります。
「足首の背屈制限」
を改善することが、正しい歩行の獲得に重要です。
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がに股歩行になる
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上記の「歩幅が狭く、つまずきやすくなる」とはまた違った方法で足首を背屈させずに歩く方法があります。それが「がに股歩行」です。
つま先を前方へ向けて歩くと足首の背屈が強制されてつらいので、つま先を外へ向けて足首があまり背屈されないようにして歩くのです。
このような歩き方は膝、とくに膝の内側を痛める原因となります。
「足首の背屈制限」
を改善することが、膝痛の予防になります。
「足首の背屈制限」
を改善することが、正しい歩行の獲得に重要です。
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座った姿勢から立ち上がりにくくなる
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「足首の背屈制限」
が大きいほど、イスからの立ち上がりが困難になります
。
下図のように、床に着いている両足に囲まれた領域を「支持基底面」といいますが、座った状態から立ち上がるには、この「支持基底面」を重心に近づけてから立つ必要があります。
そのためには、両足をお尻の近くへ引き付ける必要があります。その際、足首が充分に背屈されなければ両足が引き付けられません。
つまり、足首に背屈制限があると、両足をお尻の近くへ引き付けにくくなります。その結果、「イスに座ったら何かにつかまらないと立てない。」 という状況になります。
一方で、立ち上がる際に、上体を大きく振り出して、その勢いで立ち上がるケースもあります。
立ち上がる際に上体を大きく振り出すのは、両足をお尻の近くへ引き付ける場合とは逆に、「重心(上体)」を「支持基底面」に近づけていることになります。
このような動作の繰り返しは、腰背部の筋肉に大きな負担をかけることになりますので、立ち上がる際に腰背部が痛むといった症状の原因となりがちです
。
「足首の背屈制限」
を改善することが、スムーズな動作獲得と腰痛治療になります。 | |
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ムクミやすい、冷えやすい
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「足首の背屈制限」 があるということは、膝から下の後面についている
「ふくらはぎの筋肉」
が柔軟性を失っている、あるいは硬くなっている状態を示唆しています。
「ふくらはぎの筋肉」 は、血液およびリンパ液の循環に重要な役割を果たしています。
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「ふくらはぎの筋肉」
は、活動することによって伸縮を繰り返しますが、これがポンプ機能として働くことで、足に溜まろうとする血液とリンパ液を心臓へ向けて押し上げます。それゆえに、「ふくらはぎの筋肉」
は 「第二の心臓」 とよばれるのです。
ところが、この 「ふくらはぎの筋肉」
が硬いと伸縮しにくくなります。このために、重力にしたがって足へ落ちてきた血液とリンパ液をうまく心臓へ送り返すことができません。その結果、
脚に血液とリンパ液が溜まってムクミを生じます。
また、血液の循環がうまくいかないことによって、脚のみならず身体の血行不良も生じやすくなります
。
「足首の背屈制限」
を改善することが、脚のムクミと冷えの対策になります。 | |
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